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一般の方向け記事:免疫のしくみを学ぼう!

1.自然免疫と獲得免疫ってそれぞれ何をしてるの?

免疫は大きく自然免疫と獲得免疫に分けられます。ここでは、その役割分担をみながら、その違いをみてきましょう。

(1) 自然免疫とは?
病原体をやっつける方法として、まず食べるという殺し方があります。自然免疫の主な仕事はこれです。体を守るための最前線の戦いをしてくれています。
病原体は、例えば細菌なら細菌に共通した成分を持っています。食細胞はそういう病原体に共通した情報を認識できる分子を細胞表面に出して、標的を見定めているのです。ひとつの分子で沢山の種類の細菌を見ることができます。

自然免疫の働き


 (2) 自然免疫と獲得免疫の役割分担
自然免疫ではカバーしきれないものがあります。それは、血液中に流れている毒素分子や小さな病原体、また細胞の中に入り込んだ病原体などです。
獲得免疫は、こういう事態に対処できます。

自然免疫の働き


(3) 獲得免疫の働き
細胞内に入り込んだ病原体でも、感染細胞が死んだら病原体そのものやその破片を免疫系が取り込むことができます。
樹状細胞は、そうして取り込んだ病原体の情報をヘルパーT細胞とキラーT細胞に伝えます。
ヘルパーT細胞はB細胞に抗体をつくるように指令を出します。抗体は溶けて流れている異物分子でも攻撃できます。
キラーT細胞は、感染した細胞を見つけ出して殺す事ができます。
このふたつが、獲得免疫系の主な働きです。

獲得免疫の働き


(4) 免疫は本来は「獲得免疫」のことだった
もともと免疫は、一度罹った病気には二度目はかかりにくいことを表す言葉でした。別な頁で詳しく述べますが、病原体への反応が強くおこるしくみは、獲得免疫系にみられます。そういう意味では、かつては、免疫といえば獲得免疫のことを差しました。しかし、今では、より広い意味で、生体防御のしくみ全てをひっくるめて、免疫といいます。

(5) 自然免疫しかもたない生物もいる
この項では、自然免疫と獲得免疫の役割分担をみてきました。しかし、自然免疫だけで生きている生物も沢山います。それらの生物は、自然免疫系がよく発達していて、それだけで生きて行けるのです。