胸腺の模型。130cm x 80cm。2005年の理研一般公開のときに製作した。スイッチを押すと、細胞が光るようになっている。これまで理研一般公開や、免疫学会のイベント免疫ふしぎ未来展などで展示した。 | |
左図に示した細胞はスイッチで点灯できる。 | |
点灯させるLEDは、クリスマス用の電飾を利用した。バラ売りのものを買ってつなぐより明らかに安い。ただ、単色の青だけというのはあったが、赤、オレンジ、黄色などは単色ものがなかったので4色キャンディライト(各色25球)を買って、ほぐして使った。 | |
ほぐす過程で4色は並列であることに気付いた。いちどばらしてからつなぎなおして、赤だけ、緑だけ、オレンジだけのセットをつくった。 白は、電池式のしか売っていなかった。 |
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細胞の部分の材質はスポンジ、発泡スチロール、紙粘土などいろいろと悩んだが、蒲田の湯沢屋で「おゆまる」という素材を知って、使うことにした。 80度くらいで温めると柔らかくなるプラスチック素材。消しゴム大のバーの多色セットが子供向けのおもちゃとして売られているが、今回は単色を箱買いした。 木材はホームセンターでカットしてもらった。 |
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本体の木枠部を組み立てた後、針金で上皮細胞の構造をつくり、そこにLED電飾を配線した。製作は夜9時から3時くらいまで6時間づつ、ここまでで3日くらい。 LED電飾の配線をつなぎ変えるとき、電源を入れたまま両端を電線露出部にふれてしまい、100vを左右の手からもろに感電した。ぎゃっと大声で叫んで、体が反射的に飛んで後ろ向きにころがった。深夜2時頃だった。下手したら翌朝冷たくなって発見されていたかもしれない。そうなれば、労災になるか微妙な状況であろう。電気は怖い。 | |
おゆまるのはりつけ開始。まず胸腺上皮細胞と間葉系細胞(被膜、隔壁、血管周囲細胞など)。LED球の先には、最初からハート形のかぶせものが付いており、それごと包み込むようにおゆまるをはりつける。 | |
上皮細胞(青)と間葉系細胞(緑)だけできたところ。上皮細胞や間葉系細胞には不透明な白を使ったが、思っていたより透明で、個々のLEDライトが透けてしまっている。本当は、全体がぼおっと光るようにしたかった。 | |
仕上げの胸腺細胞をはりつける作業はお昼に行い、ラボの有志に手伝ってもらった。流れ作業式におゆまるを2?3本づつお湯で軟らかくして丸めてもらい、それでLEDライトを包んでいった。白は被膜下のDN細胞、オレンジはDP細胞。大きさに差をつけている。 | |
完成品。要した時間は計6時間x6日くらい。呼吸するように明滅するモードにして、暗くして眺めると、中々美しい。 | |
皮質の胸腺マクロファージ。 | |
皮髄境界の血管から傍血管腔を介して移住する前駆細胞(白矢印)と、移出しようとする成熟T細胞(黄矢印)。 | |
公開中。「じゃあ、これをつけてみて(DN1を押させる)。まず、こうやって、血管から、T細胞のもとになる細胞がはいってくるんだ。これは、ふえながら、はしっこの方へと移っていくんだ。順に、スイッチを押してみて(そういって、DN2,DN3, DN4をおさせる)。こうやって、いったんはしっこまできたら、今度は、また中の方へむけて戻ってくるんだ。このスイッチをおしてね(DPを押させる)。この段階は、T細胞になるための、試験を受けるステップで、とても大事だ。 ……」という感じで解説する。 子供は訳がわからなくても、光るというだけで、喜んでくれる。 |