各地探訪よもやま話

ThymOZ 2014参加記

以前は関空や成田からブリスベーンやシドニーに直行便があったのだが、今回はオーストラリアでの乗り継ぎの関係から、シンガポール航空で行くことになり、関空/シンガポール(7時間)、シンガポール/ブリスベーン(8時間)というコースだった。直角三角形の2辺と1辺のような感じだ。  
 シンガポールでの乗り継ぎの際に、大ボケをかましてしまった。飛行機に乗り込む直前にセキュリティーチェックがあったのだが、そこでパソコン+カメラ+携帯を入れたかごから、これらを回収するのを忘れたのである。  
 離陸してしばらくして、スライドつくりの作業をしようとして、パソコンがかばんの中に無いのに気がついた時は、さーっと血の気がひいた。飛行機に乗る直前の保安検査場でのことだから、もしかして気をきかせて飛行機に積んでくれてないかと期待したが、そういうこともなく、回収されて保管されているかどうかの確認をCAの人に聴いても「連絡はした。オフィスは明日朝まで開いてないので今は不明。」と要領をえない。  
 ブリスベーンに到着後は、乗り継ぎ時間にあまり余裕が無く、状況が不明のまま国内線へ乗り継いだ。写真は、国内線搭乗前に、どうしようかと悩んでいるところ。

新年画像新生河本研メンバー

グラッドストーンに10時頃に着いて、同空港からヘリコプターでヘロン島へ。今回は、うちのラボからは私、増田さん、前田君、一瀬君が参加。

新年画像新生河本研メンバー

前田君は前の席。

新年画像新生河本研メンバー

発進。一瀬君もごきげんだ。

新年画像新生河本研メンバー

ヘロン島までは約60km。30分くらいで到着。

新年画像新生河本研メンバー

気温は25度くらいの感じで、快適。鳥が沢山いて、ちょっと騒々しい。

新年画像新生河本研メンバー

右側がレセプション。左の建物は会場として使われるカンファレンスルーム。

新年画像新生河本研メンバー

宿泊したコテージ。私は単独使用としたが、シェアしている人も多い。

新年画像新生河本研メンバー

レストラン。鳥が飛んでいるのが写っている。とにかくこの島は鳥が多い。彼らは人を怖れる事も無く、またやたらとフンを投下するので、一定の確率で被害に合う。一瀬君は初日に4回も被ったらしい。

新年画像新生河本研メンバー

多くの人達は2時間かけてカタマラン(双胴船)で来る。ThymOz2000の時にこの船で死にそうな程に船酔いしたので、私はこれには二度と乗らないことにしている。今回もそこそこ揺れたらしく、松本先生がかなりしんどそうにされていた。

新年画像新生河本研メンバー

到着した日、夕方から、会場横の海に面したテラスでwelcome drink。

新年画像新生河本研メンバー

ThymOzの主催者、Richard Boyd。第一回から今回まで、ずっと彼と彼のラボの准教授のAnn Chidgey(チジィというように読む)と二人でオーガナイズしてきた。彼もそろそろ退官なので、ThymOz自体は今後も続くであろうが、ヘロン島での開催は今回が最後と彼は言っている。

新年画像新生河本研メンバー

初日のキーノートスピーカーは、バーミンガム大学のEric Jenkinson。先代のJ. J.T. Owenが率いていた頃から胸腺の発生、胸腺細胞の分化など研究で先導的な役割りを果たして来た研究室で、胸腺の器官培養法やdGuo処理法、再凝集培養法など、この分野の研究者の誰もが使う手法を開発してきた研究室でもある。包括的な話と、最新の話題がバランス良く混じった、いい話だった。

新年画像新生河本研メンバー

食事は、ずっとバイキング形式だった。肉、魚、温野菜などが日替わりで並ぶが、味は、まずまずというところ。サラダ、果物、甘物は充実していた。

新年画像新生河本研メンバー

一瀬君の発表は2日目(4月3日)。予行演習、想定質問に関するdiscussionなどは日本でもすでにひとおおりは済ませてきたが、そうはいってもやはり現地で会の雰囲気をみた上での、前日練習は欠かせない。ありがたいことに今回は一瀬君も前田君も口頭発表の機会をもらえている。二人ともは海外での口頭発表は初めてなので、かなりの緊張感を以てのぞんでいる。

新年画像新生河本研メンバー

4月3日は、一日中胸腺上皮細胞の話だった。この会は、通常お昼は長め(3時間くらい)に昼休みがとってあり、ボートでダイビングスポットまで行くシュノーケリングツアーなどを楽しめる。とはいえ、3日は一瀬君が発表、4日は河本、増田、前田が発表ということだったので、ツアーは5日のお昼休みに行く事にした。3日は前田君とお昼休みに少し泳ぎに行った。前田君の後ろに飛行艇が写っている。ヘリコプターの他に、飛行艇で来るというオプションもある。

新年画像新生河本研メンバー

ちょうど満潮だったので、環礁内で十分泳げて、いろいろな魚を見る事ができた。

新年画像新生河本研メンバー

夕食後、20時頃から、「the turtle hatchings!(ウミガメ孵化)」と題された若手のセッションで、一瀬君が発表。「MHCハプロタイプホモからヘテロへ骨髄を移植した時に見られるハイブリッドレジスタンスを抑制するのにラパマイシンが有効」という話。一瀬君はJ. Sprentからの「ラパマイシンはNK細胞にどう効くの?」という質問にも堂々と答えていた。お疲れさまでした!

新年画像新生河本研メンバー

3日の夜。一瀬君と糸井さん(右から二人目)はもう発表が終わってやれやれという感じだが、私、増田さん、前田君は明日発表だ。23時過ぎ頃まで前田君と増田さんの予行演習をした。前田君はビールを飲んでいるのではなく、マイクのつもりだ。  
 私のパソコンについて。2日にシンガポール航空から来たメールによると、2日のうちにブリスベーンまでは届けられるとの事であった。それで、2日の夕方にヘロン島のレセプションのスタッフにそれをヘロン島まで転送するように手配できるか尋ねたところ、「問題ない。そう手配する。3日の夕方には到着する。」と言ってくれたので、一安心していた。しかし、実際には届かなかった。  
 今回は、愚かなことに、発表ファイルの最新版をUSBで持って来ていなかった。増田さんが幸い1年くらい前の私の発表ファイルと、最近論文用にまとめた図のファイルをPC中に持っていてくれていたので、それらをもとに、再構築することにした。一瀬君は、「発表が終わったからもういいです」ということで、パソコンを借してくれた。部屋に借りて帰って、ほぼ徹夜で発表ファイルを作り直した。4月4日は朝から座長をするという用務もあるので、寝坊する訳にもいかない。自業自得とはいえ、きつい時間だった。

新年画像新生河本研メンバー

私は午後イチの発表(ポリコム欠損でT細胞がB細胞に変わる話)を無事に終えた。夕方のセッションでは、増田さんと前田君が20分ずつもらえていたが、同じT-iPS細胞関係の話だったので、増田さんが背景と自家移植の話、前田君が他家移植の話、というように振り分け、ひとつの発表として続けて話をした。 

新年画像新生河本研メンバー

座長はJ. Sprentだった。いろいろな質問に対して、おおむね増田さんが答えていたが、Goerg Hollanderが前田君にした「腫瘍が大きい時でも効くと思うか」という質問に対して「始めは腫瘍細胞が少ない例に対して施行する予定」というような事を的確に答えていた。お疲れさまでした!

新年画像新生河本研メンバー

この会では夕方のセッションが終わってから、夕食迄はサンセットドリンクというdiscussion時間が設けられている。オーストラリアワインのテイスティング会も兼ねていた。増田さんも発表が無事に終わって晴れ晴れとしている。

新年画像新生河本研メンバー

4日は、引き続きテラスでの食事会だった。前田君の横は、西オーストラリア大のGrant Morahanというゲノム科学者。その横はその奥さんで、抗体創薬の研究者。

新年画像新生河本研メンバー

5日は、朝のセッションが終わってから、お昼休みに皆でボートでシュノーケリングツアーへ。5日の夜はカンファレンスルームでバンドのリハーサル。昨日のテラスでの夕食時にテーブルの上に置いたリハ用の楽譜が無くなってしまい、探しまわったが見つからなかった。しかし夕方、カンファレンスルームの椅子の上に置いてあるのを見つけてくれた人がいて、練習には間に合った。

新年画像新生河本研メンバー

最終日。私はこの日のお昼休みはカンファレンスルームでリハーサル。午後のセッションのコーヒーブレークで、デューク大学のYuan Zhuangと、E蛋白と胸腺細胞分化について、いいdiscussionができた。

新年画像新生河本研メンバー

最終日の夕食後は、Trivia Nightというクイズ大会。

新年画像新生河本研メンバー

音楽や、スクリーンに映し出される映画の一シーンからその映画のタイトルを、8つのグループごとに話し合いながら紙に答えを書き、採点するという形式。難問続きだった。

新年画像新生河本研メンバー

うちのグループ。

新年画像新生河本研メンバー

名物、リンボーダンス。

新年画像新生河本研メンバー

ThymOz band登場。ベース高浜先生、ドラムス松本先生、アコギRoland Scollay。1曲目は、私の唄で、Purple Haze。

新年画像新生河本研メンバー

2曲目は、鈴木春巳先生で、21st Century Schizoid Man。珍しい選曲だからか、後で何人かに、「King Crimsonはよかった!」と言われた。

新年画像新生河本研メンバー

今回のメインボーカリストは、トロント大学のCynthia Guidos。NotchシグナルやIL-7シグナルの研究者。私は自分のプレゼンの中でボーカリスト募集、と呼びかけたところ、彼女が名乗り出てくれた。バンドのボーカルとかの経験はないと言っていたが、堂に入った唄いっぷりだった。You are no good、次にHotel California。

新年画像新生河本研メンバー

糸井さんが撮ってくれた写真で、Roland Scollayと共に我ながらちょっとかっこよく写っていて、わりと気に入っている。おそらくHotel Californiaのソロを弾いているところ。

新年画像新生河本研メンバー

今回のベースやギターは、Richardの息子さんの物。このベースは、やんちゃな飾りが微笑ましい。高浜先生も楽しそうだ。

新年画像新生河本研メンバー

その後、ビートルズの曲を数曲。シーラブズユー、ハードデイズナイト、レットイットビー、ヘルプ、最後にヘイジュード。とても盛り上がっていたと思う。

新年画像新生河本研メンバー

前田君も一瀬君もよく踊っていた。

新年画像新生河本研メンバー

7日。移動日。朝食後、少しリーフウォークをした。

新年画像新生河本研メンバー

チェックアウト後、Georgと共同研究についての打ち合わせ。その後、Richardが来て、Thymus研究会関係者でTranslationを視野に入れた研究を進めるワークンググループの集会をするという案についての話を聞いた。

新年画像新生河本研メンバー

復路のヘリコプターはJC TunigaPfluckerと同席した。

新年画像新生河本研メンバー

我々はヘリコプターだったので、スーツケースはカタマランで運んでもらった。しかし、増田さんのだけ、届かなかった。船からカートに移し替えられた時にそのカートに乗っていなかったらしい。増田さんがヘロン島に電話したところ、島にはもう無い、とのことだった。仕方なく待っていたところ、船着き場の方にいるヘロン島のスタッフが船内に残っていた荷物を見つけて持って来てくれて、本当にぎりぎりで間に合ってチェックインできた。放心状態の増田さん。

新年画像新生河本研メンバー

一方私の荷物はブリスベーンのシンガポール航空の事務所に届けられていて、回収できた。やれやれ!なお、写真ではCAの人から受け取っているようにみえるが、CAの人は立て看板である。皆様の温かい手助けのおかげで何とかなりました。特にあれこれ手配してくれた増田さん、パソコンを貸してくれた一瀬君、カメラを貸してくれた糸井さん、ありがとうございました!

新年画像新生河本研メンバー

8日の早朝、シンガポール着。空港で少し仕事をしてから、街の中心部に足を運ぶ。2週間ほど前に高知で日本三大がっかり名所のはりまや橋を訪れたところであるが、今回は世界3大がっかり名所のひとつマーライオンを訪れた。がっかり名所三昧である。なお世界3大がっかりの他のふたつはコペンハーゲンの人魚姫像、ブリュッセルの小便小僧とのこと。

新年画像新生河本研メンバー

シンガポールでは屋台が集まったフードコートのような場所をホーカーズという。そのひとつで早めの昼食をとった。

新年画像新生河本研メンバー

人気店の人気メニュー海南鶏飯(チキンライス)を前に嬉しそうな一瀬君。

新年画像新生河本研メンバー

別な人気メニュー肉骨茶(バクテー)。豚肉の煮込みであるが、スープに特徴があり、漢方薬が入っているような味と香りがする。薬膳料理のようなもののようである。