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もっとよくわかる!免疫学(羊土社刊) 2010年2月初旬刊行

河本 宏

本書は、免疫学の入門書として、分かりやすさを心がけたが、平易でありながらも免疫学の本質をもらすことなく伝えることを意図して書いた。
「わかりやすいが、中身はしっかり」ということ目指したつもりである。
 免疫学とは、「抗原特異性」を主題として扱う学問である。「抗原特異性」とは何だろうか。例えば、ある人が悪人どうかを見定めるのに、
あやしい風体をしているというレベルの見分け方もあれば、写真入り指名手配書で見分けるという方法もある。抗原特異性というのは指名手配で
犯人を探すようなものである。
 この抗原特異性を発揮するために、免疫系はとても複雑な仕組みを用いている。しかし、複雑だからこそ、免疫学は「学問」として生命科学を
リードしてきたのである。
 複雑ではあるが、実は、免疫学の基本原理自体は順序よく学べばそう難解なものではない。ところが、昨今の免疫学では、あまりに多くの
種類の細胞、分子が登場していて、標準的な教科書では本質的な枠組みが分かりづらくなっている。一方、入門書レベルの読みやすい本の多くは、
核心部分に迫っていない。
 本書は、既存の教科書や入門書と比べると、かなり異なる構成にした。目指した事は「基本原理をまず理解する」という事である。
そのために本書で心がけた一番の特徴は、細かい周辺情報(ディーテイル)を極力抑えたことである。また、イラストや漫画を沢山使って、
わかりやすくする工夫をした。

 本書は生命科学を学ぶ学生や他分野の臨床医および研究者向けの入門書を想定しているが、免疫学分野の臨床医や研究者でも、専門の
領域以外の分野の理解や、新しい情報のupdateに役立つのではないかと考えている。                         
(本書「はじめに」より抜粋、改変)

ラボメンバー

図の例:リンパ節で起こる抗体の親和性成熟過程の説明図